導入:営業が一番気が重い仕事は、たぶん「値上げ交渉」だ
価格を上げたい。でも言いづらい。怒られたらどうしよう、関係が壊れたらどうしよう。営業として、できれば避けたいテーマでした。
値上げ交渉は、決まった型がなく取引先ごとに結果も変わるため、営業としては孤独な戦いになることが多いです。 また取引先だけでなく、社内との板挟みになることが常なので、心理的な負担も大きいです。
そんなある日、「これってChatGPTに言わせたらどうなるんだろう?」と思ったことがきっかけでした。

課題:言い出せない、準備が重い、失敗が怖い
どう切り出すか?メール?電話?対面?どれも気が重く感じました。断られたときの返しも浮かばず不安です。 しかも、値上げ交渉は“相手だけでなく、社内にも気を遣う”仕事です。価格方針は決まっていても、現場としては関係性を壊したくありません。このプレッシャーが地味にきついのです。
AI登場:そんな時、ChatGPTに“代弁させてみた”
「言い方を考えてくれませんか?」「背景を整理して説明したいです」とChatGPTに相談したところ、驚くほど丁寧に整った文面が出てきました。 自分では思いつかないような、でも自然で筋が通った言い回しを提案してくれます。 最初の一言、説明の順番、締めの言葉まで考えてくれるのは、本当にありがたかったです。
体験談:「応じない」と言われたとき、どう返した?いま話題の「米」でAIロープレしてみた

今回は、最近話題になっている“米”を題材に、ChatGPTとロープレをしてみました。
条件は次のとおりです:
- 地域スーパーへの卸価格を3,500円→4,200円に値上げしたい
- 取引歴は1年未満の新規取引先
- 仕入れと物流費の上昇が背景
- 交渉の期限は2ヶ月以内
まずChatGPTに条件を説明すると、“営業的に丁寧かつ筋が通った”トーク構成を提案してくれました。
ChatGPTが出してくれた交渉トークの流れはこのような感じです:
- 冒頭:「価格改定のご相談でお時間いただきました」
- 説明:「全社的な仕入れコストと物流費の上昇により…」
- 提案:「5kgあたり4,400円→そこからご相談で最終的に4,200円」
- 締め:「今後の安定供給のためにも…」
このトーク例をもとに、上司に協力してもらいロープレを実施しました。
途中、「4000円にしてほしい」「じゃあ取引をやめる」と言われる場面もありました。
しかし、ChatGPTと一緒に準備していた想定QAがあったため、慌てずに対応できました。
「〇〇様との関係性を大切にしたいからこそ、誠意を持ってお願いしています」
「ただ、この価格は継続供給のために必要なラインであることもご理解いただけると幸いです」
結果、「分かった。じゃあ4,200円でいこう」と合意をいただくことができました。
さらにありがたかったのが、“社内報告用の説明文”もChatGPTに任せられたことです。
「取引先とこのようなやり取りをして、最終的にこう着地した」といった事実ベースの報告が整って出てくるのは、本当に助かりました。
要は、**AIを上司と取引先の“間に板挟みにしてみた(笑)”**という感じです。
そのおかげで、精神的な負荷がかなり軽くなりました。
効果:精神的なハードルがグッと下がった

ChatGPTとの“壁打ち”によって事前準備ができたことで、本番の会話でも焦ることがありませんでした。
正直、これを一人でやっていたら、逃げていたかもしれません。
相手の反応を想定したQ&A集や、言い方のパターンも一緒に準備できることで、「ちゃんと準備できている」という安心感がありました。 それが交渉の自信につながったと感じています。
まとめ:AIは完璧じゃない。でも“ひとりで抱えない営業”ができる

AIが完璧に代わってくれるわけではありませんが、言いづらいことを整理してくれたり、想定問答を一緒に考えてくれる存在です。
特に、値上げ交渉のようなプレッシャーの大きい仕事ほど、「ひとりで全部やらなくていい」という安心感は、営業にとって非常に大きな意味を持ちます。
これからの営業は、“AIと一緒に準備して交渉に臨む時代”になるかもしれません。
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